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  1. 園長通信
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ホンモノとの遭遇

自然界で冬の到来を告げる満月の柚が溢れるころ、子どもたちの心身の発達は、より成熟を増していきます。毎年『ホンモノ』がニューライフを訪れるのもこの季節です。今年は、和太鼓『荒馬座』がやってきました。
年長さんたちが早速、遭遇したばかりの『荒馬座』を模倣して段ボールで作った手製の和太鼓を叩いています。叩き手は3名ほど居る様で手には撥の様なものがしっかりと握られています。交代でかわるがわる叩いて回るうちに和太鼓はとうとう壊れてしまいました。荒馬座ごっこも終わるのかな...と思って見守っていると、「あぁ、ちょっと待って、ちょっと待って!」1mほど離れた場所にいた男児が空かさず駆け寄り、和太鼓の修繕を始めたではありませんか。叩き手の3名が持つ撥の確認もしテープで補強してまわります。うまくテープが止まらない様子を見た女児が駆け寄り、「ガムテープがいいんじゃない?」とアドバイス。教室の方へ駆け出して行きました。誰から教育されたわけでもなく自然発生的に生まれた互恵的な光景に『ホンモノ』に触れる機会の大きな意味を感じました。

利他的な行動は霊長類の大きな特徴であることが近年明らかになっています。安藤(2018)によれば、慣習化あるいは制度化された「教育」が無いと言われる狩猟採集民にも、「教えようとする行動」はあり、その様子は「寄り添う教育、斜めの教育」とも表現できるといいます。研究では、バカ・ピグミーの大人にケン玉を学んでもらうと、先ず大人が夢中になり、そのうち子どもも参加してやるようになります。すると、今度は熟達した大人が子どもに寄り添い、身振り手振りで教育的行動を取りだすというものです。そして面白いことに、子どもの方は大人からのアドバイスを役立てようとしているかは、はっきりしないと言うのです。

『ホンモノ』を見て、魅せられて、自分もやってみたい!とあこがれて、没頭する。子どもたちは「挑戦したい!」と思える魅力的な環境がそこにある限り、大人による教育抜きでも確かに成長を遂げています。今年を締めくくる『ホンモノ』は、『おもちつき』です。