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- 園長通信
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モフモフとふわふわの違い
2学期がスタートして3週間が経ちました。秋分を迎え暑さが和らぎ、園庭には様相を変えた神々しい光が降り注ぎます。植物や動物たちの精気が感じられる心地よい季節です。夏の間、職員室で静養していた赤い目の白ウサギは、本来の美しい毛並みと人懐っこさを取り戻し、子どもたちの前にようやく愛らしい姿を現しました。
年長さんたちが早速お世話をしています。「すいぶん、元気になったけれど、年を取っているから気を付けてお世話してあげてね。」「うん、知ってるぅ それにさぁ 相棒とお別れしたから、ひとりぼっちで寂しいかも知れないしね。」年長さんたちのお泊り会の当日、年を取っても愛嬌のあった黒い目の白ウサギが亡くなったことを覚えていたのです。よかったね、優しい子たちだね、と、ウサギの背の白い真綿に、そっと手の甲をあてて滑らしてみます。「ふわふわ~」と思わずつぶやくと、「ふわふわじゃなくて、モフモフでしょ? ふわふわは、ハムスターだよ!」と、さとされました。オノマトペ(擬音語)の使い分けに年長児の感受性の強さと豊かさを感じました。
図書室からの階段を降りると、教員が3人と年少さんが4人集まって何かを囲んでいます。「あ!優しく触ってね」「あ...!」教員たちが見張る先をのぞき込むと、新しい飼育ケースの中でハムスターが丸くなっています。初めて見るハムスターに大興奮の年少さんはハムスターをぬいぐるみの様に取り合います。教員たちは年少児の予期せぬ行動や力加減に、内心ハラハラしつつも、飼育を通して探究活動を盛り上げます。
ちいさな動物を飼育することの教育的意義を考えて見ました。一つは「死」について幼児なりに感じるということです。「生きていること」と「死」とが対になっており、死んでしまうともう会えないことを感じる。年長児は「1羽になって寂しい」と「死」を表現していました。二つ目は、どれくらい力を加えると相手を傷つけてしまうのか、「命にかかわる」のかを幼児なりに感じるということです。大人が危険を感じさせる声掛けをすることで、力加減を幼児なりに調節していく。触っては、感じ、大人の声掛けを聞いては、緩める。相手の状態を感じ取り、自分の力をコントロールする経験を重ねます。そして三つ目は、お世話をしないと「命にかかわる」ということです。これらの感受性が芽生えることで、生命を尊く愛おしいものと感じ、めぐりめぐって、自分を愛おしいと感じる心が、育まれていきます。